一言で「少年コミック」といっても、それがどの程度の厳密さを持ったジャンルなのかというと、かなり怪しいものがあります。
いい例が「ジャンプ」「マガジン」あたりに代表される4大少年コミック週刊誌で、雑誌ごとにこれでもかというくらいに作風にも雰囲気にも、多分倫理基準にも差があります。 これらのコミック誌のなかでも、特にチャンピオンは異色で、以前の掲載作品で言えば、たとえば「アクメツ」なんかはその他の雑誌では相当苦しい設定でしょうし、「月光天女」に至っては、話の筋自体が普通に忌避されかねない、むしろ普通なら青年誌向けと判断されるかもしれない題材です。
また、月刊誌なんかは、今でこそマガジンだけになってしまいましたが、かつてソフトエロ系のコミックが主力だった時期もあり、その頃の作品は、場合によっては今では18禁のレーベルで再販されていたりもします。
これらの例だけでも、少年マンガといって、全くひとくくりにはできないことがあからさまにわかりますが、近年では、さらにわけわかんない状態になってきている気もします。「少年」と誌名には付いていながら、どうみても「少年誌じゃねえだろ、これ」という雑誌が出現してきているからです。
少年エースの、どう見ても少年誌ではないラインアップ 「少年」と名が付くコミック誌のなかでも、明らかに「違うだろ」という雑誌の代表格としては、「月刊少年エース」がまず挙げられるでしょう。
この雑誌、どちらかというと少年誌というよりは角川系メディアミックス誌、もしくはマニア系青年誌といった方がいいラインアップで有名です。
エヴァンゲリオンやケロロあたりまでは、まだ少年誌らしいと言えなくもないですが、それ以外の連載は明らかに少々踏み越えてしまっている感があります。
ヤンデレヒロインで有名な「未来日記」などは、話の質自体は高いんですが、これを少年コミックと言い張るのは少々キツい気がしますし、『NHKへようこそ!』に至っては、引きこもりのフリーターが主役の作品で、もはやどこにも少年マンガの構成要素は存在しません。
この傾向をもっとも象徴する作品が『多重人格探偵サイコ』でしょう。初回以降一切手加減なしで豪快としか言いようのない残虐シーンが頻発する本作においては、もはや少年誌がどうとかという問いかけ自体が無意味です。というか、普通に有害図書指定されてる段階で、もう少年コミックとは言いづらいでしょう。
さすがに青年誌に移籍したようですが(現在はヤングエースに連載)。
正直、ここまでして「少年コミック誌」を名乗る意図が全く分かりませんが、上層部やプロジェクトにはなにかの深遠な判断でもあるのかもしれません。下々の民には、その辺はまったく理解できないでしょうが。
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