鈍行・快速だけ(さらに全席指定の場合は指定券が必須)という縛りはあるものの、全国一律にJRが乗り放題になる「青春18きっぷ」のシーズンがやってきました。本来は学生さんだったり退職後の方の余暇だったりと、時間のある方しかやらない移動方法ですが、とにかく安いのが特徴です。最近は鉄道ファン以外にも知られてきたきっぷなので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

私も今回は体が空いており、かつ出費がちょうどかさんでしまう時期で金がないという事情を踏まえ、このきっぷを使って鈍行での帰省を考えました。いままでもたまには長期休みに趣味でやっていたんですが、今回はむしろやらざるをえないというのがちょっと今までと違いますが。
ただ、そうは言っても、どうせやる以上は楽しもうと色々計画は立てています。日数の範囲内で回れるところは回ってみようというわけです。私は乗り鉄の気があるせいも大きいと思うけれど、はじめての土地の路線に乗ると妙にわくわくします。
どうせなら、楽しめることは楽しまないとなぁ、と。

問題なのは、今の私には
まともな宿に泊まる金がないことですが。

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18きっぷ屈指の鬼ルートを余裕日程ごとにプラン立て

さて、この「青春18きっぷ」を語る際にまず絶対に話題に上るのが、「1日でどこまで行けるのか」です。わたしが愛用する東京発~九州方面に絞って言えば、この問いへの答えは「小倉まで行ける」です。実際、九州方面への18きっぷ旅行を考えた際には実践される方が多いメジャープランのひとつです。

が、いかんせん、このプランはあまりの鬼っぷりから鉄道好きでも嫌気がさす旅になりがちなのも事実。ただ、これは無理に最短ルートを1日で走破しようとするためでもあります。

そこで、この記事では今までのわたしの経験も踏まえ、余裕日程に応じたプラン例をご紹介します。いずれにしたところで乗車時間が長いのは変わらないのですが、多少は余裕のある計画立てが可能になりますので、ひとつの参考例として見ていただければ幸いです。

※記事中の時刻は2019年夏季のもの。複数日にまたがるプランは1日目が土曜日、2日目が日曜日のダイヤに合わせています。

1日で走破する(デフォルトプラン)

まずは比較のために丸一日で走破する定番のプランをご紹介します。

東京04:41-品川04:52 ※京浜東北線
品川05:10-小田原06:21
小田原06:22-熱海06:45
熱海06:49-浜松09:18
浜松09:24-豊橋09:57
豊橋10:02-大垣11:32
大垣11:42-米原12:17
米原12:20-姫路14:47
姫路15:03-相生15:23
相生15:25-糸崎18:04
糸崎18:29-徳山21:57
徳山21:59-下関23:50
下関23:51-小倉00:05
※2019年夏季・日曜ダイヤ

ご覧になればお分かりになると思いますが、連続乗車18時間強、それにも関わらず休憩を取る余裕時間がほぼない、鬼のようなプランです。いわゆる1分乗換もそこそこあるのでうかつに居眠りしたらアウトですし、ほとんどの乗換は5分前後。トイレに行くくらいがせいぜいでしょう。

唯一比較的待ち時間が長いのが姫路(16分)と糸崎(25分)なので、何かできるとしたらこの2駅くらいでしょう。参考までに、姫路は駅ホームに駅そば屋があります。一方、糸崎は駅前にコンビニがある程度です。

昔は夜行のムーンライトながらが通年運行かつ予約もとりやすかったのでまだ余裕をもって移動できたのですが、臨時となった現在は完全にレアチケットと化しており、予約を取れること自体がほとんどありません。その上、ダイヤ改正で列車の乗換駅もここ10年前後で大幅に変わったため、もし十数年前に東海道本線~山陽本線を使って鈍行旅行したことのある方が、その当時の感覚でやろうとするとか確実に泣きを見ます。

ただ、何年か前は品川駅発の始発列車で出発しないと小倉までたどり着けないダイヤになっていた時期もあったのですが、今は東京発でもかろうじて小倉までたどり着けるようになっており、この点だけは多少なりとも改善されていると言えます。

もっとも、一列車でも乗換に失敗すれば破綻してしまうプランのため、正直お勧めはできないというのが本音です。確かに最短ではあるのですが、筆者も、ここ数年はこのやり方は一切していません。

途中で宿泊する(岡山)

さて、1日で東京~九州を走破するのが「できなくはないけど恐ろしく辛い」ことはお分かりいただけたと思います。では、これを多少なりともマシにするにはどうするかというと答えは単純。どこかで1泊すればいいだけです。

もちろん余裕日程がなくて無理な場合は仕方ありませんが、ハッキリ言って1日で移動しようとすると辛さが先にたって楽しむどころではありません。しかも1本でも乗り遅れたら計画が破綻するわけですから、結局不確定要素が非常に強くなってしまいます。それなら、最初から2日かかるものとして計画を立てた方が心理的にも楽ですし、計画そのものにも自由度が増します。

では、その場合どこで宿泊するか。個人的によく使うのが岡山です。ここは古くから交通の分岐点だったためか、安めの宿が結構あり、宿泊するにしてもかなり安くあげられるためです。

【1日目】
東京10:48-熱海12:32
熱海12:35-興津13:32
興津13:44-浜松15:15
浜松15:24-豊橋15:57
豊橋16:02-米原18:09
米原18:17-播州赤穂21:24
播州赤穂21:27-岡山22:42 (宿泊)
【2日目】
岡山05:15-糸崎06:39
糸崎06:40-岩国09:00
岩国09:15-新山口11:06
新山口11:28-下関12:35
下関12:38-小倉12:51
※2019年夏季・1日目は土曜ダイヤ、2日目は日曜ダイヤの場合

 

全体の時間がかかることには変わりないものの、だいぶ余裕のあるタイムスケジュールになったのはお分かりいただけると思います。この計画は敢えて1日目は終電、2日目は始発で出発する前提で立てていますが、より余裕を持たせるなら1日目の出発を早めたりすることでさらに余裕を作ることも可能です(可能ならそちらをお勧めします)。

また、上記のスケジュールでそのまま小倉以南まで向かう場合は、主な方向別に人吉駅(19:42着)、長崎駅(19:37着)、佐伯駅(21:08着)までの到達が可能です。

 

途中で宿泊する(浜松)

こちらは、わたし自身があまり日程の余裕がないときに使うパターン。1日目の日中に用事があったりして、どうしても夕方以降の出発になってしまう場合に使っています。岡山宿泊の場合と違ってあまりメリットは薄いのですが、多少なりとも余裕を持たせておきたい場合に使える方法です。

浜松はさほど安宿は多いわけではないのですが、どうしても安く上げたい場合はネットカフェなどもそこそこあったりしますので、工夫次第でやりようはあるという感じです。

【1日目】
東京19:15-沼津21:32
沼津21:35-静岡22:31
静岡22:41-浜松23:53
【2日目】
浜松06:01-米原08:44
米原08:48-姫路11:18
姫路11:35-相生11:54
相生12:26-岡山13:37
岡山13:50-糸崎15:20
糸崎15:39-岩国17:52
岩国18:18-下関21:29
下関21:44-小倉21:57
※2019年夏季・1日目は土曜ダイヤ、2日目は日曜ダイヤの場合

岡山宿泊のプランと比べて2日目の負荷が高いのですが、それでも乗換時間は1日で走破する場合と比べるとだいぶマシになりますし、数時間ながら万が一の場合の余裕時間もあります。

ちなみに、こちらの計画で小倉以南に南下する場合は、大牟田駅(00:37着※18きっぷ3日目まで消費)、柳ケ浦駅(23:28着)まで到達可能。かなり行き先が限られるとはいえ、鹿児島本線方面なら博多や鳥栖、日豊本線方面も中津に到達可能なため、多少なりとも選択肢は広がるでしょう。

 

いずれにせよ鉄道好き向けの旅行手段なのは忘れずに

とりあえず3パターンをご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。もちろん、これ以外にも手の打ちようはいくらでもあります。たとえば、一部だけ夜行高速バスを使ってショートカットしたり、いっそのこと割り切って大回りをしてみたり。

特に、個人的におすすめなのは大回りはおすすめです。首都圏~九州を18きっぷで移動する場合、確かに最短は東海道本線と山陽本線で直通するルートなのですが、それでは飽きがきます。

一方、最初から直行しなくてもいいと割り切ってしまえば、観光路線としても名高い山陰本線や、プラン立てはさらに難しくなりますが、中国地方の陰陽連絡線を経由してみるなど、なかなか面白いルートが組め、ただ体力的にキツイだけではない旅が可能になります。

18きっぷ自体の残日数との相談にはなりますが、一度試してみると病みつきになるかもしれません。

 

ただ、最後に一言言い添えておきますが、いずれにしても18きっぷの長距離旅行自体、ある程度鉄道に乗ることに免疫がある人向けの手段なのは間違いありません。私の場合、鈍行旅行自体がもともと好きで、社会人になってからもまとまった休みができた場合などにはよく使っている立場なのですが、それでもキツさは感じますので。

確かに格安な移動手段ではありますが、そこだけに目を奪われずに、「楽しめるか」を軸にした計画を立てていただきたいと思います。

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