一時期単行本の在庫が尽きてしまい、相当な品薄に陥ったことでも話題を呼んだ『あそびあそばせ』(涼川りん)。今号からヤングアニマル本誌に移籍みたいですね…。
ちょうど未読だったので、この機会に読んでみました。
個人的な印象としては、「日常系、ただし相当の変化球」。
内容は女子校生トリオ、香純、華子、オリヴィアの3人がいろんな素朴な遊びを楽しむって感じで、骨子自体はホント、日常系作品の典型と言うべきものです。
登場する遊びも、それこそ知らない人がいないだろうってくらいにメジャーなものが多く、これが懐かし系の作品なら子供の頃を重し出して郷愁に浸ってしまいそうなラインアップです。
ただ…いかにも美少女!って感じの表紙とは裏腹に(表紙の画力や色使いは、純粋に「女の子の絵」として相当レベルが高いです。表紙に限って言えば、「その辺にいそうな魅力的な女の子」の魅力が最大限に引き出されています)、本作はギャグマンガなのです。郷愁も何もあったもんじゃありません。
遊んでいくうちに各キャラがガチで豹変…というか、もはやヒロインとよぶのがはばかられるレベルでぶっ壊れていく様が、本作を本作たらしめている一大特徴。女子校生のものとはとても思えない、壮絶な顔芸がさく裂します。
そうした変顔シーンに差し込まれるセリフも女子校生が発するとは想像し難いもので、異様なムードを醸し出します。絵のテイスト自体も表紙とは似ても似つかないもので、美少女もののつもりで読むと唖然としてしまうでしょう。それくらいの落差加減です。ある意味、表紙と中身という、本としての体裁さえ使った一大ギャグとも言えます。
もっとも、ギャグと言っても日常系の色が濃いですから、かなり全体の雰囲気はまったりとしています。なので、ただひたすら爆笑という感じのノリではありません。どっちかっていうと瞬間的に噴き出すって感じの一発ネタで、テレビのお笑いに例えるなら、コントというよりは漫才みたいな、クスっと笑ってしまう様な、ユーモア的な笑いを重視した感があります。だから、ツボにはまるか同課で全然反応は変わってくるでしょう。見ようによってはシュールさの方が際立っているので、そう感じてしまった場合は爆笑とはいかないでしょう。
ただ、もしそうだったとしても、それはそれで魅力を感じさせるあたりはさすがの力量です。私はシュールと感じた側なんですが、ジャンルは全然違うんですが、なぜかしりあがり寿の作品を思い浮かべてしまいました。あれも爆笑系というわけではないんですが、なぜか読んでしまうんですよね。
とにかく特異なノリなんですが、それだけにハマる方は相当ハマると思います。
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