4コマ漫画っていうとひと昔前は素朴そのもので、あってもちょっとした艶笑系くらいでした。
その当時に比べると、今は萌え系から割と本格的なお色気系までバリエーションも増えたもんだと思います。
雑誌などはむしろ、下手なストーリー漫画系の雑誌よりも華やかなイメージすらありますから。
基本、くすっと笑うためのものっていう本質は変わってないんですけどね。
さて、今回紹介する『秘書の仕事じゃありません』(東屋めめ/芳文社まんがタイムコミックス)はそういう百花繚乱な昨今の4コマの中では一見、地味です。
一応萌え系ってことになるんでしょうが、絵柄はかつてほどではないもののどちらかというと昔のほのぼのした時代の4コマっぽい素朴な雰囲気が漂っていますし、内容的にも爆笑でもあざといほどの萌えってわけでもないほのぼのしたもの。
ただ、それにもかかわらずこの新入社員・中田さんが妙にそそるんです。
内容を一言で言うと、入社早々社長付の秘書に任命された中田さんの奮闘記です。
ただ、この人事、そもそもこれまでの歴代秘書たちがさじを投げたあげくのものでした。
というのは、この社長、まるで子供そのものの無邪気っぷりで、秘書の仕事内容も、普通に想像されるインテリジェンスなものとは百光年くらいかけ離れたもの。
社長であるという1点を除けば、まんま子供のお世話係です。
そんな環境にもめげずに仕事に取り組む中田さん。
相棒は、社長が作ったという2頭身の女の子型ロボット、「部下ちゃん」です。
この部下ちゃん、プログラミングはかなりの技術力で、基本はお掃除ロボットながら、いろんな発言や提案もしてくれるんですが…
その内容が(結果的に)ほぼ秘書のお色気を引き出すことばかり。
秘書の制服はあっという間に太もも深く切り込まれたスリットつきの、チャイナドレスばりのスカートに。
しかも日ごとに部下ちゃんの提案はヒートアップしていき、その格好でさらに網タイツを履かせて外出するハメになったりと、中田さんの立場からしたらほぼ羞恥プレイです。
これが男性の提案なら100%セクハラ案件間違いない所。
ただ、そんな設定だけ見れば殺伐としそうな職場環境なんですが、社長自身は無邪気なだけで別に秘書に対して色気をだすわけでもありません。
性格的にもおおらかなもんですし、部下ちゃんにしても悪意があるわけではないので、雰囲気は牧歌的なもんです。
そんな環境だからか、中田さんは戸惑いつつも今日も社長のお世話に勤しむ…と、内容はこんなもんで、露出しまくりの格好を除けば、印象は古き良きほのぼの4コマそのもの。
4コマということに加えて絵柄に派手さがないこともあって、過剰なお色気という感じは微塵もありません。
そんな「親御さんも安心して読ませられる4コマ(基本設定以外は)」そのものにも拘わらず、なんでまた中田さんがそそるかっつーと、彼女がとことんそういうカッコしそうにない子だっていうのが大きいと思うんですよ。
よく学園ものとかで、優等生のおとなしめの女の子が校外で逢ってみたらすごい色っぽいカッコしてたりしたら、ドキドキせざるを得ないじゃないですか。
中田さんのお色気の源泉はまさにこれ。
とにかくいい子なのです。
漫画的にデザインこそ派手めですが、性格は素直そのものだし、初々しいし、男女云々は置いといて、もし友達にいたならすごいホンワカしそうな感じ。
それどころか、社長のお世話をしている様子なんかは、下手すると母親っぽいっというか、いわゆるバブみさえ感じさせます。
そういう子が、太もものほとんどを露出した、お色気以外はまったく考慮してないだろって格好をしてるわけで、そりゃ、やっぱり、ねえ…
アホっぽい感じは多分にありますが、作品全体のほわほわ具合と併せて、なかなか楽しいひと時を過ごせる作品です。
むしろ、OL属性、お姉さん系が好きな方は、下手にフルコンタクトな作品よりもグッとくるかもしれません。
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